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「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」なら大丈夫?

近年、痛風対策や高尿酸血症対策を始め、メタボ対策としても注目されている「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」のアルコール飲料。ビールはプリン体が高いという噂も手伝い、これら「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」のアルコール飲料はうなぎ上りに人気が上昇しています。

確かに、痛風患者にとっては、プリン体も糖質も敵です。しかしながら、敵はプリン体や糖質だけではありません。灯台下暗し。実にアルコール自体が、プリン体や糖質にも匹敵する手ごわい敵だったのです。

アルコール自体が尿酸値を上げて痛風リスクを高める

痛風を患う人にとって、当然ながらプリン体は敵です。中には、普段から魚の干物やレバーなど、プリン体を多く含む食材を控えている人もいることでしょう。

同じく、糖質もまた痛風の敵。メタボと痛風との関連は多くの医療機関から報告されているため、痛風患者の中には、なるべく糖質も控えた食事を意識している人も多いことでしょう。

痛風の患者にとっては常識でもある、プリン体と糖質のコントロール。この発想が底辺にあるからこそ、アルコールには「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」を選んでいる、という人も少なくありません。

結論から言うと、たとえ「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」の飲料を選んでも、そこにアルコールが含まれている限り、痛風リスクは高まる一方です。

プリン体と糖質を抑えるのは痛風対策の基本

誤解しないでいただきたいのは、痛風対策にとってプリン体カットと糖質カットはとても大事な要素ということ。日頃の食事では、引き続きプリン体と糖質の量を意識していきましょう。

普通のビールよりは「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」のほうが良い

「ビールはプリン体の含有量が多いので、他のお酒を飲んだほうが良い」という噂があります。様々なお酒に含まれるプリン体の含有量を比較してみると、実際にビールのプリン体含有量は多めです[注1]

  • ビール(各社平均)…5.7mg/100g
  • 発泡酒(各社平均)…2.9mg/100
  • 日本酒…1.2mg/100g
  • ワイン…0.4mg/100g
  • ウイスキー…0.1mg/100g
  • 焼酎…0.0mg/100g

これらの数字からも分かる通り、様々なアルコール飲料の中で最もプリン体含有量が多いのがビール。よって、たとえばビールを避けて焼酎を飲む、という選択肢は間違ってはいません。

また、ビールや日本酒などの醸造酒と呼ばれるアルコール飲料は、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒に比べて糖質が高め。この観点からも、痛風の人がビールを避けるという発想は、間違ってはいないと言えるでしょう。

逆説的?実はビールはプリン体の少ない飲み物です

ビールにはプリン体が多いと言われていますが、厳密に言うと「他のお酒に比較するとプリン体が多い」ということ。お酒以外の多くの飲食品に比べると、ビールに含まれているプリン体の量は極めて少なめです。

ビールと同じく、俗に「プリン体が多い」と噂されている食べ物を見てみましょう[注1]

  • アンキモ(酒蒸し)…399.2/100g
  • 鶏肉(レバー)…312.2/100g
  • イワシ干物…305.7/100g
  • 大正エビ…273.2/100g
  • アジ干物…245.8/100g
  • カツオ…211.4/100g

これらのうち、たとえばイワシ干物100gなど、誰でも簡単に平らげてしまうはずです。そのイワシ干物100gに含まれているプリン体の量は305.7mg。実に、ビール5リットル以上に換算されるプリン体の量です。

同様の計算をすると、納豆(1パック50g)にはビール1リットル分、ブロッコリー(100g)にはビール1.3リットル分のプリン体が含まれています。

以上から、ビールのプリン体含有量は実は少ない、ということが分かるでしょう。そもそもアルコール飲料は、全般的にプリン体が少ない飲み物なのです。

それでも痛風リスクは上昇する!「プリン体ゼロ」の盲点とは?

ビールを始め、アルコール飲料全般はプリン体の含有量が少ない飲み物。ところが、ビールを含めたすべてのアルコール飲料は、別の意味において痛風リスクを高めることが分かっています。

アルコール自体に尿酸値を高める作用がある

ビールであろうが焼酎であろうが、また「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」のビール風飲料であろうが、その飲み物にアルコールが含まれている限り尿酸値は上昇し、痛風リスクが高まります。

この点について、日本痛風・核酸代謝学会理事長の細谷龍男氏(東京慈恵医科大学名誉教授)は、あるインタビューに対して次のように答えています。

「アルコールはエネルギー物質であるATPを分解し、尿酸の産生を促進します。また、アルコールが肝臓で分解される際に生成される乳酸は、腎臓からの尿酸の排出を低下させてしまうのです。さらにアルコールには抗利尿ホルモンを抑制する作用があり、脱水も進みます。尿酸の7~8割は尿から排出されますが、脱水によって尿量が少なくなるため、尿酸の排出が低下し、体内の尿酸値が高くなるのです」[注2]

また日本痛風・核酸代謝学会は、アルコール摂取量と痛風発症率の関係について、『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版』の中で簡略的なグラフを示しています[注3]

グラフによると、アルコールを全く飲まない人に比べ、アルコールを1日に30.0~49.9gほど飲んでいる人は、痛風リスクが約2倍。毎日日本酒を2合ほど飲んでいる人は、痛風リスクが優に2倍を超える計算です。

つまり、「ビールを飲むと痛風リスクが高まる」というよりも「アルコールを飲むと痛風リスクが高まる」ということを知ることが大事。「プリン体ゼロ」や「糖質ゼロ」は、痛風の予防・改善にとって多少の意味はあるかも知れませんが、実は大きな問題ではありません。

「糖質ゼロ」が過食を招く

糖質は脳のエネルギー源となります。よって、脳に糖が運ばれることを感知することで、脳は満腹感を覚えることになります。逆に言えば、「糖質ゼロ」の飲料をいくら飲んでも、脳が満腹感を覚えることはありません。

この点に関連し、肥満と代謝の研究者でもあるベストセラー作家の田形孝行氏は、次のようなリスクを指摘しています。

「そんな体のメカニズムを知らずに糖質制限や糖質ゼロ飲料を摂っていると『糖質ゼロ』の安心感も手伝って知らず知らずに日々の食べ過ぎ、摂り過ぎに気付かなくなってしまいます」[注4]

「糖質ゼロ」のアルコール飲料を飲むことで、脳は満腹感を覚えない一方、酔いの勢いが手伝っておつまみの量が増える可能性があります。結果、カロリー過多となり徐々にメタボが進行。メタボと痛風との深い関係は、国内外の数々の研究が証明しています。

日本痛風・核酸代謝学会からの生活指導

『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版』の中で日本痛風・核酸代謝学会では、高尿酸血症と痛風の患者に対し、3つの生活指導を提示しています[注3]

1.食事療法
プリン体を多く含んだ食材を極力控えること。1日のプリン体総摂取量が400mgを超えないようにする。
2.飲酒制限
種類を問わず、アルコール飲料の摂取は制限する。1日の摂取限度量は、日本酒であれば1合、ビールであれば500ml、ウイスキーであれば60ml程度とする。
3.運動の推奨
週3回程度の軽い運動(特に有酸素運動)を継続し、メタボリック症候群の進行を抑える。

以上が痛風患者に対する日本痛風・核酸代謝学会からの提言です。

生活指導の3本柱のうち、1本が飲酒制限。アルコールが痛風に及ぼす影響の大きさを、容易に推測することができるでしょう。

ビールを控えるのではなく、アルコール自体を控えることが大事

尿酸値が高い人や痛風を患っている人の中には、メタボリック症候群やその予備軍の人も少なくありません。予備軍も含めてメタボの人の中には、お酒好きが好きな人も多いことでしょう。

説明からもお分かりの通り、お酒の種類と痛風には、大きな因果関係がありません。通風と関連しているのは、アルコールそれ自体です。「プリン体ゼロ」や「糖質ゼロ」のビール風味飲料を選んでも、過剰に摂取すれば尿酸値が上昇し痛風リスクを高めます。

通風にお悩みの方々には、以上の点を十分に理解してアルコールと向き合うようお勧めします。

そのサプリメント、プリン体のかたまりかも

尿酸値を気にしてプリン体の少ない食品を選んでいても、健康系のサプリの中にはプリン体をふくむものもあります。

すべての健康系サプリメントにあてはまるわけではありませんが、エネルギー源となる成分を凝縮して作っている健康系サプリメントにはプリン体を多く含んでいるモノがあります。たとえば、ローヤルゼリーやビール酵母など30代男性が服用することの多い健康系サプリメントは、プリン体そのものと言っても過言ではないでしょう。(プリン体は細胞核にある核酸を構成する物質)

引用元:『尿酸値改善のためのプリン体まるわかりBOOK』大山博司著、サンクチュアリ出版、p.70より転載、強調部分は編集

プリン体量(mg)
青汁粉末(ケール) 100g あたり 40.2
1回分(3g) 1.2
青汁粉末(大麦若葉) 100g あたり 88.5
1回分(3g) 2.7
DNA/RNA 100g あたり 21493.6
1日分4粒(1g) 214.9
ビール酵母 100g あたり 2995.7
1日分10粒(3g) 89.9
クロレラ 100g あたり 3182.7
1日分10粒(2g) 63.7
スピルリナ 100g あたり 1076.8
1日分40粒(8g) 86.1
ローヤルゼリー 100g あたり 403.4
2さじ分(3g) 12.1
核酸ジュース 100g あたり 8.3
1回分(150ml) 12.4
大豆イソフラボン 100g あたり 6.9
1日分1粒(0.2g) 0
グルコサミン 100g あたり 11.8
1日分6粒(1.5g) 0.2
コラーゲン 100g あたり 2.9
1回分(3g) 0.1
コンドロイチン+ビール酵母 100g あたり 186.1
1日分10粒(3g) 5.6

引用元:『尿酸値改善のためのプリン体まるわかりBOOK』大山博司著、サンクチュアリ出版、p.71より転載

参考書籍

尿酸値改善のためのプリン体まるわかりBOOK

引用元:Amazon公式サイト

監修:大山博司 プロフィール(本書巻末より転載)
両国東口クリニック理事長。認定痛風医。
1982年帝京大学医学部卒業。帝京大学医学部第二内科、田島病院院長などを経て、2001年両国東口クリニックを開設、2002年より現職。
田島病院時代より痛風専門外来を開設、これまでに延べ1万人以上もの痛風患者の診療・治療にあたる。1997年よりインターネット医療相談にも積極的に取り組み、現在までに6000件以上の相談に応じている。また、患者とその家族のための痛風メーリングリストも運営。日本インターネット医療協議会幹事として、インターネットの医療利用についての報告、著作活動を幅広く行っている。著書に『痛風ウソ?ホント!』(悠飛社刊)『尿酸値をしっかり下げるコツがわかる本』(学研パブリッシング刊)がある。
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