あなたは痛風予備軍?健康診断で見るべき数値とは?
以下で紹介する数値のすべてを正常値内でキープしている方は、とても優秀です。この先も、今まで通りの生活習慣を維持していくようにしましょう。
しかしながら現実には、数値のいずれかが正常値をはみ出している例も少なくないでしょう。特に成人男性においては、同時に複数の項目で正常値をオーバーしている例があるかも知れません。
いずれかの数値が正常値をオーバーしていたとしても、すぐに痛風を発症する訳ではないので安心してください。ただし、いずれの数値においても、正常値をオーバーした方は痛風予備軍です。痛風発作の予防のため、以後は生活習慣の改善を図っていくよう心がけましょう。
痛風予備軍の判断目安となる健康診断の数値
痛風予備軍の判断基準とすべき健康診断の項目は、主に以下の7種類。すべてが健康診断結果の表に記載されている訳ではなく、中にはご自身で算出する必要があるものもあります。
不明な点がある場合は、健康診断を受けた医療機関に直接尋ねるようにしてください。
推算糸球体ろ過量(GFR)
正常値:90以上
推算糸球体ろ過量(GFR)とは、血清クレアチニン値という数値に、年齢や性別などの条件を加味して算出する数値。この数値に血圧などの状態を関連させて、医師は患者の慢性腎臓病(CKD)の重症度を判定しています。
推算糸球体ろ過量(GFR)を算出するための公式は少々難解なので、数値を知りたい方は医師に直接訪ねるか、または、簡易的に推算糸球体ろ過量(GFR)を計算するサイトなどを活用しましょう。
ちなみに、推算糸球体ろ過量(GFR)を基準にした慢性腎臓病(CKD)の重症度の区分は、以下のようになります。
- 90以上(G1)…正常または高値
- 60~89(G2)…正常または軽度低下
- 45~59(G3a)…軽度から中等度低下
- 30~44(G3b)…中等度から高度低下
- 15~29(G4)…高度低下
- 15未満(G5)…末期腎不全
尿pH(水素イオン濃度)
正常値:5.0~7.5
pH値(水素イオン濃度)は数値7.0を中性とし、数値が高くなればなるほどアルカリ性、数値が低くなればなるほど酸性の度合いが強くなります。
尿は6.0程度の弱酸性。より酸性の度合いが強くなると、結石ができやすくなる傾向があります。
ただし尿pHは、食事などの影響によって一時的に大きく数値が変動するため、誤差を考慮し5.0~7.5の間であれば正常と判断されます。
内臓脂肪の面積
- 男性の正常値:ウエスト85未満
- 女性の正常値:ウエスト90未満
いわゆる内臓脂肪型肥満の人は尿酸値が上昇しやすいため、痛風を発症するリスクが高くなります。
内臓脂肪型肥満の基準値は、内臓脂肪の面積が100㎠を超えているかどうか。内臓脂肪の面積を正確に判定するには腹部CTが必要ですが、ウエストサイズを測定するだけでも、ある程度は推測可能です。ウエストサイズが上記の数値を超えている場合には、内臓脂肪型肥満である可能性が高いと言えます。
BMI
正常値:25未満
BMIとは、簡単に言えば「太っているか痩せているか」を判断する基準。体重を、身長の2乗で割って算出します。たとえば体重65kig、身長175cmの場合、次のようにBMIを計算します。
65 ÷ (1.75×1.75) = 21.22
BMIが25以上であれば「肥満」と判定され、高尿酸値が疑われます。
逆にBMIが18.5未満の場合は「痩せ」と判定され、別の意味における健康不良のリスクがあります。
中性脂肪値・HDLコレステロール値
- 中性脂肪値の正常値:150mg/dL未満
- HDLコレステロール値の正常値:40mg/dL以上
中性脂肪が多い場合や、善玉とされるHDLコレステロールが少ない場合、脂質異常症と判定されることがあります。脂質異常症とは、かつては高脂血症と呼ばれた症状。いわゆるメタボリック症候群であるかどうかを判断するための重要な概念です。
メタボリック症候群と痛風には、非常に深い関連性があることが指摘されています。
血圧
- 最高血圧の正常値:130mmHg未満
- 最低血圧の正常値:85mmHg未満
血圧は、メタボリック症候群を判定する構成要素の一つ。他の構成要素を満たし、かつ高血圧の場合、メタボリック症候群と判断されます。
上記の通り、メタボリック症候群と痛風との間には、深い関連性があります。
なお、最高血圧100mmHg以下、または最低血圧60mmHg以下の場合は低血圧と診断され、痛風とは別の病気のリスクが高まります。
血糖値
正常値:110mg/dL未満(空腹時)
血糖値もまた、メタボリック症候群を判定する際の構成要素の一つ。いわゆる高血糖の状態が長期化すると、内臓脂肪の蓄積や肥満へとつながり、尿酸値が上昇して痛風を発症するリスクが高くなります。最悪の場合、糖尿病へと発展する恐れもあるため、血糖値は常に正常値を維持するよう意識しなければなりません。
一昔前とは比較にならないほど患者は増加している
48年間で患者数が577倍以上に!
日本で初めて痛風が認められたのは1898年。当時、痛風はほとんど知られていない病気でした。のち戦後にいたり、高度経済成長に合わせて痛風患者は増加。1965年には1,840人の痛風症例が報告されています。
増加したとは言え、日本の全人口を基準に考えれば、1965年当時でも痛風はマイナーな病気だったと言えるでしょう。
ところが1986年、厚生労働省が行なった「国民生活基礎調査」では、痛風で通院している患者が254,000人と激増。のち右肩上がりに激増を続け、2013年、痛風患者の数は1,063,000人まで膨れ上がりました。1965年の1,840人から僅か48年間で、痛風患者の数が実に577倍以上にも増加した、ということになります。
痛風予備軍は30代男性の30%以上!
ある専門家の調査によると、成人男性の約26.2%は高尿酸血症、言い換えれば痛風予備軍とされています。年代別では、30代男性の全体の30%以上が高尿酸血症。全年代の中で、最も高い比率を示しています。
高尿酸血症と診断されたからと言って、必ずしも痛風を発症する訳ではありません。ただし、高尿酸血症の人は間違いなく将来の痛風予備軍であるため、日ごろから尿酸値を意識した生活習慣を心がけていきたいものです。
健康診断の数値を流さず、しっかりと向き合うことが大事
忙しい仕事の合間に行なわれる健康診断。結果が出た当日は、一時的に同僚たちと数値を話題にすることもあるでしょう。しかしながら翌日になれば、ほとんどの人たちは数値を忘れ、再びいつもの忙しい生活へと戻っていきます。
飽食の時代と言われる現代において、健康診断が示している数値は非常に大切。痛風の合併症として心筋梗塞や脳梗塞、腎不全など、命に関わる病気が潜在している以上、毎年の健康診断の際には、決して数値を流さず、しっかりと向き合うようにしなければなりません。かつ、数値が正常値を超えていた場合には、速やかに日常生活の改善を図るようにすべきです。
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