アンセリンとは?
アンセリンとは、動物の筋肉の中に含まれているペプチドで、2種類のアミノ酸(β-アラニン、メチルヒスチジン)が結び付いた構造をしているのが特徴です。アンセリンは、海洋生物ではサメやマグロやカツオ、サケなど、そして陸上動物では鳥類の筋肉に多く含まれています。
もともとアンセリンは、旨味成分に深く関係している物質として、注目を浴びるようになりました。
近年は、マグロやカツオといった大型回遊魚の筋肉中に多く分布していることから、大型回遊魚がもつ運動能力の秘密のカギ(大型回遊魚が長距離を疲れ知らずにハイスピードで泳ぎまわれる秘密のカギ)としてより注目を浴び、現在も研究が進められています。
アンセリンに期待できる効果
これまで多くの研究者たちが試験・研究等を行なってきた結果、アンセリンには、抗疲労効果をはじめとしたさまざまな機能が備わっていることが分かりました。以下に、その主な効果を一覧にまとめてみたのでご覧ください。
- 抗疲労効果
- 活性酸素消去能
- 血圧降下作用
- 抗炎症作用
- 尿酸値降下作用
ちなみに、抗疲労効果については、慢性的に疲労・ストレスを感じている男女32名を2グループに分けて、それぞれアンセリンカプセル(アンセリン50mg/日含有)とプラセボカプセル(偽薬)を8週間摂取し体感性のアンケートを取った実験で、アンセリンを摂取したグループにおいて摂取1週間後から有意な疲労感の軽減が見られたそうです。また、肉体疲労に対する効果を試す実験(健康な男性7名がアンセリンを摂取したうえで脚あげを2回行い、筋電図を測定)においても、アンセリンの摂取により有意な肉体疲労軽減が見られたそうです。(参照:http://www.yskf.jp/anserine/antifatigue.html)
また、これらのアンセリンの効果の中でも、マグロ・カツオ由来のアンセリンが尿酸値降下作用を持っていることについては、これまでの機能性食品にはほとんど見られなかった効果だけに、各方面の注目度が高くなっています。
アンセリンの尿酸値降下作用についても実験データがあるので、以下をチェックしてみてください!
尿酸値に対するアンセリンの働き
アンセリンは、尿酸が作られ過ぎることを防ぎ、また作られ過ぎてしまった尿酸の排泄も促進することで、尿酸値下降に働きかけます。
- 尿酸を作り過ぎない…再利用酵素と呼ばれる「ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)」の量を増やすことにより、プリン体が分解されて尿酸になる前にもう一度プリン体に戻すことで、尿酸の過剰産生を抑えます。
- 尿酸を排泄しやすくする…疲労やお酒の飲み過ぎなどによって乳酸が溜まると尿酸は排泄されにくくなりますが、アンセリンは乳酸を代謝する「LDH」の量を増やして体内で発生する乳酸の代謝を促すことによって、尿酸排泄をしやすくします。
もともと、疲労回復として発売していたアンセリンですが、飲んだ人から尿酸値が下がったという声があったため臨床データに出したところ、実際に下がった結果が得られたそうです。

アンセリンの尿酸値における
臨床試験結果
尿酸値が高めの成人男性31名を2つのグループに分け、それぞれアンセリンカプセル(アンセリン50mg/日含有)とプラセボカプセル(偽薬)を4週間にわたって摂取。その結果、アンセリンを摂取したグループは、摂取前と比べ、摂取2週間目から尿酸値が降下する傾向が確認された。さらに摂取終了後2週間で、摂取前と比べて尿酸値の有意な降下が見られた。(※このような調査では、一般的に「プラセボ効果」と呼ばれる心理的な効果によって、プラセボを摂取した場合にも症状が改善されることがよくある。アンセリン摂取では、摂取前と比べて有意に尿酸値が降下したため、本当にアンセリン自体に効果があることが分かった。)
その他の効果
抗疲労効果
アンセリンは、高尿酸で痛風のリスクが高まっている人に効果的だと考えられていますが、それ以外にもさまざまな健康効果があることがわかっています。その効果は、多くの研究者たちの試験や研究などで調べられており、いくつもの機能を備えていることが判明しました。中には、疲労を軽減する抗疲労効果という働きもあります。
抗疲労効果については、慢性的に疲労・ストレスを感じている人たちを対象として行われた調査によって、有意な疲労感の軽減が見られ、効果が明らかになっています。アンセリンカプセルを摂取するグループと、プラセボカプセルのグループに分けて8週間摂取した結果、アンセリンカプセルのグループのみ疲労感の軽減があらわれました。また、肉体的な疲労についても、興味深い調査結果があります。こちらもプラセボを摂取したケースと比較して、実際にアンセリンを摂取したケースで、有意な軽減効果が見られたということです。
活性酸素消去能
アンセリンが多く含まれている鰹だしを用いた実験では、活性酸素の除去に対して有力な効果があることがわかりました。[注1]
動物の筋肉中に含まれ、2つのアミノ酸が結合したペプチドの一種であるアンセリンは、もともとうまみ成分として注目されていたものです。人間や豚、牛、馬などは別のペプチドの割合が高く、鳥類ではアンセリンの比率が高くなり、カツオやマグロなどの回遊魚は、アンセリンが大半を占めるようになります。
回遊魚が休まず泳ぎ続けていられるのは、アンセリンが乳酸を分解し、持久力を高める働きがあるため。さらにアンセリンは抗酸化効果も持っており、体を動かした後など、酵素の消費が激しい脳や筋肉の組織を守ってくれます。活性酸素は毒性の強いものもあり、老化を引き起こし、生活習慣病などの原因にもなる存在です。アンセリンの抗酸化作用はアンチエイジングとして老化を予防するだけでなく、健康にも役立つ効果が期待できるでしょう。
血圧降下作用
抗疲労効果や抗酸化作用に優れたアンセリンは、血圧をコントロールすることによって生活習慣病の予防にも役立ちます。アンセリンには血管を広げる作用があるので、血管を広げることで血液の循環がスムーズになり、自然と血圧が下がると考えられているのです。
アンセリンの血管拡張作用は、環状グアノシン一リン酸という物質に関係するもの。これはアルギニンの一酸化窒素と同じような働きがあります。環状グアノシン一リン酸を増やすことで、血管周囲の平滑筋を弛緩させ、血管を広げる効果が期待できるのです。平滑筋は、血管のまわりで収縮や弛緩を繰り返すことで、血管を収縮、拡張している組織。しかし、血管そのものが劣化すると、平滑筋の収縮によって過剰に血圧を上昇させてしまうことがあります。血管の収縮によって血圧が上がるリスクを抑えるためには、定期的にアンセリンを摂取して、一時的でなく長期的・安定的に血圧を抑えることが大切となるでしょう。
抗炎症作用
アンセリンの働きとして注目が集まっているのは抗炎症作用です。特に高尿酸血症でリスクが高くなる痛風発作の炎症や痛みを予防・軽減する効果が期待されています。痛風の痛みは「風が吹くだけでも痛い」と言われるほどの激痛になることも。痛みや腫れを軽減することで、痛風のつらさと怖さも緩和できそうです。
痛風は、体内に尿酸が蓄積することが原因で引き起こされます。尿酸は血液中に溶けにくく、体内の尿酸濃度が高くなると、溶けずに関節などで結晶化。やがてその結晶が剥がれ落ちると、白血球が異物として攻撃し、激しい痛みや炎症を引き起こします。これが痛風発作のメカニズムです。
アンセリンには、尿酸の生成を抑えるだけでなく、体内に増えてしまった尿酸の排出を促す働きが期待できます。その結果、尿酸値の上昇を抑え、痛風症状の改善だけでなく、痛風の予防にも役立ってくれるでしょう。最近では中高年だけでなく、30代の若い男性にも痛風になる人が増えています。予防のためにも、今のうちから積極的に取り入れたい成分です。
尿酸値降下作用
アンセリンは、痛風の原因である尿酸値の上昇を抑えて、尿酸値を下げてくれる作用を持つと言われています。痛風は高尿酸血症、つまり、血液中の尿酸が増えることで起こるものです。ところが、アンセリンはこの尿酸の生成を抑える働きと作られ過ぎた尿酸の排出を促進する働きを持っており、痛風を予防すると言われています。
アンセリンが尿酸の生成を抑えるのは、「HPRT(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ)」というプリン体を尿酸に変える前に再度プリン体に戻す酵素のためです。これは再利用酵素と呼ばれており、尿酸に変えるプリン体の量を抑えてくれています。また、アンセリンは、尿酸の排出を邪魔する乳酸の分解をスムーズにすることで排出を促します。乳酸は過度の飲酒や肉体疲労によって体内に増える物質です。アンセリンは、乳酸を代謝させる働きを持つ「LDH(乳酸脱 水素酵素)」の量を増やす働きを持っています。
アンセリンが含まれる食材

ここまで説明してきたように、さまざまな効果の中でも"尿酸値を下げてくれる効果"がとくに注目されているアンセリン。では、日々の食生活において、身近な食材からは摂取が可能なのでしょうか…?以下に、アンセリンが含まれる食材を一覧にしてみました。
- カツオ
- マグロ
- 鶏肉
上に挙げたように、アンセリンはカツオやマグロ、鶏肉といった食材から摂取することができます。
しかし、これらの食材は、アンセリンが含まれている一方でプリン体も多く含んでいる食材です。そのため、尿酸値を下げたい人が、アンセリンをこれらの食材から摂取することはあまりおすすめできません。尿酸値を下げる働きがあっても、プリン体が多ければ意味がないですよね。
以上のことから、アンセリンを摂取する方法としては、純粋にアンセリンだけが含まれたサプリメントがおすすめです。効率的にアンセリンを摂ることができるので、ぜひ毎日の食事にプラスして取り入れてみてくださいね!
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