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カツオのたたきより
しめサバ、ブリ、マダイの刺身

刺身は居酒屋のメニューのなかでも、多くの方がオーダーする定番おつまみ。昔から酒の肴にお祝い事にと、日本人には欠かせないメニューです。ただし、魚の種類によっては、尿酸値を上げてしまうものもあるので要注意。その代表がカツオです。尿酸値が気になる方におすすめしたいのは、カツオのたたきよりもしめサバ・ブリ・マダイ。その理由について詳しく見ていきましょう。

カツオのたたきに要注意…

ポン酢やショウガ、ネギなどの薬味との相性がバツグンで、香ばしい風味がたまらないカツオのたたき。酒の肴にもぴったりですが、尿酸値を気にする方にとっては注意が必要なメニューです。

その理由は、カツオにはプリン体が多く含まれているから。その量は魚介類やそれ以外のカテゴリでもトップクラスです。プリン体を多く含む食品を摂取しすぎると、尿酸の分泌が増えてしまい、痛風などのリスクが高まってしまいます。カツオ100gあたりのプリン体は211.4mgで、次いで多いイワシは210.4mg。そのほかの魚類は干物にするとプリン体が増えますが、生魚で食べる場合はそれほど多くはありません。

一方で、カツオやイワシ等のプリン体が多い魚に関して、非常に興味深い研究報告があります。
東北大学の永富良一教授らの研究グループは、29~74歳の日本人424名を対象に、魚を食べる習慣と高尿酸血症との関連を3年間にわたり調査。調査の結果、魚の調理法により高尿酸値検証の罹患リスクがまったく異なることを発見しました。永富教授らが導いた結論は次のとおりです。

  1. 生魚(刺身)の摂取量が多いほど高尿酸血症のリスクが上がる
  2. 焼き魚の摂取量が多いほど高尿酸血症のリスクが上がる
  3. 煮魚の摂取量と高尿酸血症のリスクに相関関係はない
  4. フライ魚の摂取量と高尿酸血症のリスクに相関関係はない

痛風や高尿酸血症の敵とみなされる魚ですが、調理法により罹患リスクはまったく異なるようです。尿酸値が気になる方で、なおかつ魚を好む方は、刺身や焼き魚ではなく、煮魚やフライを摂るようにしましょう。

選ぶならしめサバ、ブリ、マダイ

尿酸値を下げたい方におすすめの刺身は、サバ、ブリ、マダイです。サバ100gあたりのプリン体含有量は122.1mg。ブリは120.8mg、マダイは128.9mgと、いずれも低プリン体の食品なので、尿酸値が高めの方でも気にせず食べられます。赤身の魚よりも、白身魚のほうがプリン体が少ない傾向にあるため、おつまみ選びのひとつの目安として覚えておきましょう。

また、ブリのように歯ごたえがある魚は、よく噛んで食べるために満腹感を覚えやすく、太り過ぎも防いでくれます。カロリーは高めですが、DHAやEPAといった中性脂肪を減らすはたらきのある不飽和脂肪酸が含まれおり、糖質もほとんど含みません。肥満を防止して間接的に尿酸値が上がるのを防ぐ効果が期待できるでしょう。

意外!?プリン体が極めて少ないイクラ

赤身や内臓、卵類など、旨味が強い食品に多く含まれているプリン体。キレイなオレンジ色にとろりとした食感を持つイクラは、いかにも高プリン体食品のように感じてしまいますが、実は尿酸値を下げたい方にはうってつけ。イクラのプリン体含有量は、100gあたりたったの3.7mgとごくごくわずかなんです。

そのほか、魚卵を使った食品はカズノコ(ニシンの卵)21.9mg、トビコ(トビウオの卵)67.8mgとプリン体が少ないのが特徴。尿酸値を下げたい方にうれしい食品だと言えるでしょう。

ただし、いくらプリン体が少ないと言っても食べすぎは禁物です。低プリン体の魚介類を中心に、バランスのよい食生活を心がけましょう。

プリン体が多いイメージのある代表的な食材の一つ、イクラ。しかしながら実際には、イクラに含まれるプリン体は非常に少なめです。

イクラに含まれるプリン体の量

日本痛風・核酸代謝学会の定義では、プリン体の含有量と食材の関連について、次のように定義しています。

  • 400mg/100g…プリン体が非常に多い
  • 200~300mg/100g…プリン体が多い

つまり学会の常識では、100g中にプリン体が200mg未満の食材について、とりたててプリン体の多い食材とは考えていません。
これら定義に対し、プリン体が多いと思われがちがイクラのプリン体の量は、100gにわずか3.7mg。極めてプリン体の少ない食材と言うことができます。
なお、イクラが魚の卵ということもあり、その関連から鶏卵もプリン体の多い食材として考えている方がいるようですが、鶏卵に含まれるプリン体の量はゼロです。実際にはごくわずかなプリン体が存在しますが、数値では表記できないほど微量です。

なぜ「イクラはプリン体が多い」というイメージがあるの?

「イクラはプラン体が多い」という誤解は、イクラに含まれるコレステロールの量と関係しているのかも知れません。イクラはコレステロールを多く含む食材ですが、世の中の一部には「コレステロールの多い食材にはプリン体も多い」という誤解があるようです。

痛風や高尿酸血症に罹患している方々は、いわゆるメタボリックシンドロームも併発している傾向があります。メタボリックシンドロームと診断された方にとっては、コレステロールは摂取を控えるべき食材。この流れの中で「イクラにはプリン体が多い」という混同が生まれたのではないか、と推測されます。

特定の食材におけるコレステロールの含有量とプリン体の含有量には、いっさい相関関係がありません。たとえば、コレステロールの高さで知られる鶏卵には、先に触れたとおりプリン体がほとんど存在しません。逆に、たとえばレバーやアンキモのように、コレステロールもプリン体も両方多く含む食材もあります。
コレステロールの多い食材にはプリン体も多い、という認識は誤りであることを再確認しましょう。

なお後述しますが、確かにイクラはコレステロールの含有量が多い食材ではあるものの、他の成分との相互作用により、結果として体内のコレステロール値を下げると考えられています。

イクラに含まれているさまざまな成分

イクラの一粒一粒には、体に良いとされる多くの成分が凝縮されています。それら成分の中から、代表的な3つをご紹介しましょう。

DHA・EPA

脳に良いとされ、かつ、全身の血流を改善させるとされるDHAとEPA。サンマやイワシなどの青魚に多く含まれる成分として知られますが、実はイクラには、サンマやイワシをしのぐ量のDHA・EPAが含有されています。

動脈硬化や高血圧などの予防を心がけたい方には、ぜひお勧めしたい成分です。

アスタキサンチン

イクラの赤い色素の正体は、アスタキサンチンと呼ばれるカロテノイドの一種。極めて高い抗酸化作用を持つことで知られる成分です。

抗酸化作用とは、体内で生成された過剰な活性酸素を除去する働きのこと。活性酸素は、心臓病や脳卒中、がんなどの様々な病気に深く関与する物質として知られています。

タンパク質

イクラに多量に含まれているタンパク質にも注目です。ある動物実験によると、タンパク質をDHA・EPAと一緒に摂取することで、コレステロールや中性脂肪の値が低下することが分かっています。

イクラはコレステロールを多く含む食材ですが、タンパク質・DHA・EPAが相互に作用することで、結果としてイクラに含まれるコレステロールすらも打ち消してしまうとのこと。イクラは、メタボの方でも安心して摂取できる食材なのです。

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