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筋トレ編

健康のために始めた筋トレで尿酸値が高くなる?

健康に良いイメージのある筋トレですが、じつは尿酸値を高める原因にもなることをご存じでしょうか。尿酸値が高い状態が続くと、痛風になるリスクが高まります。それだけにとどまらず、合併症として心臓病・腎臓の機能低下・高血圧など、命にかかわる病気の原因となることも珍しくないのです。

万が一のことを考えて、筋トレと尿酸値についての関係は押さえておきたいところ。ここでは尿酸値が上昇する理由や、尿酸値を抑える方法をご紹介します。また筋トレ時の尿酸値対策として、過去の研究結果も役立ちそうです。あわせて、研究から判明した尿酸値対策成分についても見ていきましょう。

筋トレと尿酸値の関係

  • 01

    筋トレが尿酸値を上げてしまう理由

    健康のために筋トレをする方は多くいますが、これは尿酸値の増加を引き起こします。繰り返す筋肉の新陳代謝によって、核酸内のプリン体が増加することがその理由です。プリン体が増えた分だけ、尿酸値も高まるもの。つまり新陳代謝が繰り返されるほど、血液中の尿酸も増えてしまうのです。

    筋力トレーニングや短距離走のようない運動(無酸素運動)は、急激量のエネルギーを消費するため、酸素の供給が間に合わず、筋肉中のエネルギー物質であるATPを分解することによってエネルギーを得ます。その結果、分解産物であるプリン体が増加し、尿酸値を上げてしまいます。

    引用元:『患者のための最新医学 痛風・高尿酸血症 (患者のための最新医学シリーズ)』日高雄二著、高橋書店出版、p.134より転載、強調部分は編集


    また、激しくエネルギーを消費すると、乳酸が増加します。すると同時に腎臓からの尿酸排出が抑制され、蓄積することで尿酸値がアップ。さらに筋トレによって酸素の供給が追い付かなくなると、急激にプリン体を増加させる事態を招きかねません。

    また、激しい運動をすると血中に乳酸という物質が増え、これが腎臓からの尿酸の排泄を妨げるため、体内の尿酸が増加します。さらに、運動で汗をかきすぎて体内の水分が失われると、血液が濃縮されて尿酸値が上がるとともに、尿酸結晶ができやすくなります。

    『ウルトラ図解 高尿酸血症・痛風―尿酸値を下げて、痛風発作と合併症を防ぐ』細谷龍男著、法研出版、p.146のより転載


    尿酸値を考慮すると、筋トレなどの無酸素運動はあまり望ましくないでしょう。ボディメイクよりも健康を意識するのであれば、有酸素運動のほうがおすすめです。

  • 02

    筋トレが健康診断の数値にも影響

    筋トレは健康診断の数値にも影響を与えてしまいます。健康診断の注意事項に「前日の激しい運動は控えるように」とあるのはこのためです。「健康なはずなのに陽性」といった場合、前日の過ごし方を思い返してみましょう。

    影響を与えてしまう項目のひとつは、血液検査。具体的にはCK(CPK)・AST(GOT)・ALT(GPT)です。筋トレによって筋肉疲労を起こすと尿酸値が上昇し、これらの数値が高値を示す恐れがあります。

    ふたつ目に尿検査。筋トレが尿たんぱくの数値に影響を与えてしまう可能性があります。激しい運動によって脱水状態に陥ると、一時的に腎臓機能が低下。これによって尿たんぱく検査で陽性の結果が出ることがあるのです。

  • 03

    動物性たんぱく質は尿酸値を上げる

    肉や魚といった動物性たんぱく質には、血中の尿酸濃度を高めてしまうリスクがひそんでいます。なかでも魚の干物や動物の内臓は、多くのプリン体を含む食品です。100%食事から排除しなければならないというわけではありませんが、摂りすぎには十分注意しましょう。

    特に筋トレ中は、上述のとおり血液中の尿酸濃度が上昇しやすい状態。このときプリン体の多い食事をしていては、さらにリスクが高まるのも当然です。血液中の尿酸が多い状態が続くと、痛風をはじめ、高血圧・心臓病・腎臓機能低下を引き起こすことも考えられます。

    同じ動物性たんぱく質でも、乳製品は尿酸値をダウンさせるため、尿酸値が気になる方は意識的に摂ってみてください。

筋トレしたときの尿酸値対策

「尿酸値対策をしながら筋トレをしたい」と考えている方は、過去の研究結果を参考にしてみましょう。日本酒たんぱく質やカゼインプロテインの摂取は、健全に尿酸の血中濃度を維持するために役立つという結果が出ています。

トレーニング後に日本酒たんぱく質を摂取

過去に台湾で行われた実験です。日本酒から抽出したたんぱく質をマウスに与えて運動させ、運動能力アップや疲労に影響を与えるのかを試しました。

・運動をしないグループ
・筋力トレーニングをするグループ
・日本酒のたんぱく質を摂取したうえで筋力トレーニングするグループ

上記3グループ分けて結果を比較したところ、ただ筋トレをさせたグループは、脂肪・体重が減少。AST・ALT・クレアチニン・尿酸値が増加しました。一方、日本酒のたんぱく質を摂取したうえで筋トレをしたグループは、尿酸・AST・アンモニア・クレアチンキナーゼが減少。さらに安静時でもAST・ALT・尿酸・クレアチニンの値が減少するという結果になりました。

このことから、筋トレは脂肪や体重の減少には役立つものの尿酸値を上げる作用を持つことが判明。同時に、日本酒のたんぱく質を摂取したうえでの筋トレは、ASTや尿酸など4つの値を低下させることが分かったのです。[注1]

カゼインプロテインの摂取

尿酸値を下げるカゼインは、牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品にたっぷり含まれています。日常的に摂りやすい成分ではありますが、含まれるのは好き嫌いが激しい食品であることも事実。プロテインであれば、格段に摂取しやすくなります。また、カゼインプロテインは尿酸を上昇させるプリン体をほとんど含んでいません。スムーズな尿酸の排出を助けてくれるでしょう。

もし乳製品が得意であれば、牛乳とチーズの場合1日200ml以上、ヨーグルトの場合は100ml以上の摂取を目安にしてみてください。ただし乳製品は高カロリー・高脂肪。できるだけ低脂肪乳製品を選んでください。プロテインを上手に活かしながらカゼイン摂取を心がけましょう。

参考書籍

患者のための最新医学 痛風・高尿酸血症 (患者のための最新医学シリーズ)

引用元:Amazon公式サイト

著者:日高雄二 プロフィール(本書巻末より転載)
赤坂中央クリニック院長。1978年、東京大学医学部卒。米国ミシガン大学リウマチ内科助教授、帝京大学医学部助教授、亀田総合病院リウマチ膠原病科部長を経て、現職。東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター非常勤講師。専門分野は痛風、関節リウマチ、膠原病。
著書・監修書:『痛風の治療と食事療法』(日高雄二・小山律子共著、日東書院)『最新版本気で治したい人の痛風』(日高雄二監修、学研)ほか
所属クリニック 赤坂中央クリニック
〒107-0052東京都港区赤坂3-21-16 SKI赤坂ビル2階
TEL:03-3582-4991
http://www.taizankai.jp/akasaka/

ウルトラ図解高尿酸血症・痛風―尿酸値を下げて、痛風発作と合併症を防ぐ

引用元:Amazon公式サイト

著者:細谷龍男 プロフィール(本書巻末より転載)
東京慈恵会医科大学名誉教授、慢性腎臓病病態治療学教授。1974年東京慈恵会医科大学卒業。78年同大学大学院医学研究科修了。79年同大学第二内科入局。96年同大学内科学講座第2助教授、97年同教授を経て、2013年より現職。
日本内科学会(理事)、日本腎臓学会(理事)、日本リウマチ学会(評議員)、日本痛風・核酸代謝学会(理事長)など幅広く活躍。多くの診療ガイドライン策定にも関わる。主な著書としては『透析患者合併症のマネジメント』(医薬ジャーナル社)、『腹膜透析療法マニュアル』(東京医学社)、『スーパー図解痛風・高尿酸血症』(法研)ほか多数。
所属大学 東京慈恵会医科大学
〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8
TEL:03-3433-1111(大代表) http://www.jikei.ac.jp/index.html